第2章 土の基本的な性質

 

 

2.7 土の締固め

 河川や海岸等の堤防や道路盛土、道路の路床・路盤の構築、構造物の裏込めや埋め戻しを行うときには、必ず、土を締固めて、強度の増加と圧縮性の向上等の安定性を高めます。

 締固められた土の性質は、土によって異なるばかりではなく、同じ土でも、締固めエネルギーの種類(動的・静的等)や大きさにより異なりますし、締固めるときの含水比によっても異なります。

 土の性質が締固める時の含水比により異なるのは、ある含水量の範囲では水が潤滑材となって土粒子間の摩擦力が低減されるために締固めによって土の乾燥密度は増加しますが、含水量が多くなると締固めにより土粒子が移動しやすくなり、土の間げきに含まれる水が多くなって乾燥密度が小さくなります。

 このため、締固める土の締固め特性を事前に知り、施工計画の立案・施工能率の向上のための資料を得ること、締固められた土の品質判定の目安等得るために締固め試験が行われます。

 一般的に行われる締固め試験は、「JIS A 1210 突固めによる土の締固め試験方法」があります。

 

 1) 突固めによる土の締固め試験方法

 JIS A 1210に定められる突固めによる土の締固め試験は、

 

@  土を締固めたときの乾燥密度と締固め含水比との関係を知り、土を最も安定な状態に締固められる最適含水比を予測すること。

A  現場における締固めのための指標として利用すること。

B  力学試験等の供試体作成の利用すること。

 

などが主な目的となります。

 この試験方法による試験結果は、現場における締固めのための指標として利用されますが、現場での締固め機械の適正な重量や転圧回数等を定量的に決定できるものではありません。

 

 JIS A 1210に定められる突固めによる土の締固め試験の概要は次ぎのとおりです。

 

・  締固め方法は、プロクター法のランマーによる突固めである。

・  A〜Eの五つの突固め方法とa〜cの三種の試料の準備方法・使用方法がある。

・  ランマーは、質量が2.5kgまたは4.5kgのものを使用する。

・  モールドは内径が10cmまたは15cmのものを使用する。

・  試料の許容最大粒径はφ=37.5mmである。

・  土の含水比を6〜8点変え、土の乾燥密度−含水比曲線を作成し、最大乾燥密度、最適含水比を求める。

 

 試料の最大粒径はφ=37.5mmですが、最大粒径はモールド内径の1/4程度以下かつ突固め1層あたりの層厚以下と規定されていますので、A〜Eの五つの突固め方法により最大粒径は異なります。

 突固めの仕事量は、「Standard Proctor」Ec≒550kJ/m3(突固め方法A,B)と、「Modified Proctor」Ec≒2500kJ/m3(突固め方法C,D,E)があります。「Standard Proctor」は、路体や路床で、「Modified Proctor」は路盤で使用されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 乾燥法は、試料を許容最大粒径に対応するふるいを通過しやすくなるまでいったん乾燥させ、これに、所要の含水比になるように加水して試験試料とする方法です。乾燥は、通常直射日光は避け、室内の風通しのよいところに薄く敷き広げ、均一に空気乾燥させます。細粒土は乾燥するにつれて塊が出来ますから、木槌等で適当に潰しながら乾燥させます。急いで乾燥させる必要がある場合には、50℃を超えない温度に調整した恒温乾燥炉で試料の状況を確認しながら時々撹拌して乾燥させてもよいとされています。

 湿潤法は、採取した状態の含水比を原点として、乾燥または加水して所要の含水比に試料を調整して突固める方法です。乾燥法のようにいったん乾燥処理した後に、加水処理して含水比調節をしてはいけません。

 繰返し法は、同一の試料を含水比を変えて繰返し使用する方法です。

 非繰返し法は、常に新しい試料を準備し、含水比を変えて試験試料とする方法です。

 試料の準備方法は、通常、含水比調節の容易な乾燥法が適用されますが、火山灰質粘性土や凝灰質砂等では湿潤法が採用されます。また、高含水比な粘性土等では、自然含水比が最適含水比に比べて非常に高い場合があります。この場合、施工時に最適含水比への調整が困難ですから、自然含水比を基準と考え、施工可能な範囲の含水比を考慮して湿潤法を採用することがあります。

 くさり礫やまさ土のように、突固めにより粒子破砕がおきる土では、締固め試験の結果に粒子破砕の結果が影響しますので、非繰返し法を採用することとなります。

 水となじむのに時間を要する土では、含水比を調節したあとに気密な容器に密封し、12時間以上静置した後に、試験に供します。乾燥法による加水後の静置時間の例を表2.7.3に示します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 試験結果報告の留意点は、次ぎのとおりです。

 

・  「地盤材料の工学的分類法」による分類名を土質名称欄に記入し、併せて粒度試験結果を添付することが望ましい。

・  乾燥密度−締固め曲線(締固め曲線)を作成し、最大乾燥密度ρdmaxと最適含水比woptを決定する。

・  試験方法名を報告する。

・  空気間げき率一定曲線や飽和度一定曲線を求めておくと便利。

・  ゼロ空気間げき曲線(va=0%,Sr=100%)は必ず締固め曲線に併記する。

 

 以下、締固めに関わる主な式を示します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2) 土の一般的な締固め特性

 締固め試験結果の一般的な傾向は、次ぎのとおりです。

 

・  最大乾燥密度が大きい土ほど最適含水比が低く、逆に、最大乾燥密度が小さい土ほど最適含水比が高い。同じ土では、締固め仕事量が大きいほど最大乾燥密度は大きく最適含水比は小さく、締固め仕事量が小さいと最大乾燥密度は小さく最適含水比は高くなる。

・  粒径幅の広い砂質土ほど最大乾燥密度が大きく、締固め曲線が鋭い(ピークが明瞭)。一方、細粒土ほど最大乾燥密度が小さく、締固め曲線はなだらかとなる。

・  分級された砂(粒径のそろった砂)は、必ずしも最大乾燥密度が得られるとは限らず、締固め曲線は平滑である。また、場合によっては、ピークが二つ現れることがある。この場合は、ピーク値の大小にかかわらず、含水比の高い方を最大乾燥密度とみなした方が施工上合理的なことが多い。

・  火山灰質粘性土は、一般に最大乾燥密度が非常に小さく、最適含水比が高い。しかも、試料の乾燥処理の程度によっては、その値が大幅に変化する。

・  突固めにより粒子破砕されやすい土では、試料を繰り返して使用すると粒径分布の異なる土で試験を実施したと同様なこととなり、試験の意義が不明確になる恐れがある。

・  砂・シルト・粘土などの比較的細粒な土の土粒子が破砕されると、土そのものの工学的性質が変化する場合がある。

・  粒子破砕しやすい土の繰返し法による試験結果は、非繰返し法の試験結果に比べて鋭い締固め曲線が得られ、最大乾燥密度にもかなりの差が生じる。このため、粒子破砕しやすい土では、繰返し法で締固め試験を実施すると過大な結果が生じる恐れがあるので、非繰返し法を採用する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 3) 土の締固めの管理

 土の締固めの管理は、締固めの程度、施工含水比、施工層厚、転圧機械等が仕様に定められ、仕様に沿った施工が行われているか管理されます。

 締固めの管理方法は、品質規定方式と工法規定方式に大別され、その両者を組み合わせた方法もあります。

 品質規定方式は@乾燥密度(密度比)で規定する方法、A空気間げき率または飽和度で規定する方法、B強度特性・変形特性で規定する方法があります。

 また、工法規定方式は、締固め機械の機種、敷均し厚さ、締固め回数などを定め、これにより一定の品質を確保しようとする方法です。工法規定方式を採用する場合には、あらかじめ、現場締固め試験(試験施工)を実施して、定める規定の妥当性を把握しておくことが必要です。

 

・  乾燥密度(密度比)による方法

 この方法は、室内での締固め試験で得られた最大乾燥密度と施工転圧された土の乾燥密度の比によって表わされる締固め度(Dc値)を指標として用いる方法です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 施工含水比は、その最適含水比を基準して規定された範囲内にあることが要求されます。道路土工施工指針では、施工含水比は最適含水比と90%締固め度の得られる湿潤側の含水比の範囲とされています。

 施工含水比は、盛土が将来水浸される恐れが少なく、かつ高い強度が要求される場合には最適含水比より少し乾燥側とし、水浸されても安定性を期待したい場合には最適含水比かそれよりも少し湿潤側とします。施工含水比が最適含水比より乾燥側のときは地下水や降雨による水浸で軟弱化したり沈下したりする恐れがありますから、注意が必要です。

図2.7.3は、乾燥密度と強度及び水浸後の強度の関係を模式化したものです。締固め含水比が最適含水比より少し低い含水比で締固めると最適含水比より大きな強度が得られますが、締固められた土が水浸されますと大きく強度が低下します。これに対して、最適含水比より高い含水比で施工された場合は、最大強度は発現しませんが、水浸後の強度低下は小さく、盛土が水浸した場合の安定性の低下は小さいこととなります。また、最大強度が発現される含水比で施工した場合より水浸後の強度が大きくなる場合がありますから、最適含水比を大きく超えなければ水浸後の盛土の安定性は高くなります。

盛土の施工というと密度の確保が重要ではありますが、それだけではなく、締固めの施工が可能で強度や変形特性が満足されるのであれば、なるべく空気間げき率が小さく、飽和度が大きくなるように土を締固める必要があることとなります。ですから、かなり乾いた状態で締固めを行い、基準の乾燥密度が確保されたからといって、その盛土が水浸された場合には、必ずしもその盛土は安定性の高い盛土とは言えないこととなり、施工含水比も極めて重要な要素となります。また、密度管理の難しい土では空気間げき率や飽和度で盛土の管理を行うのは、このことによります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 密度比による方法は、最も一般的な方法で、採用例は多いと思いますが、自然含水比の高い粘性土等では採用が難しい方法です。

 施工された盛土の乾燥密度の測定方法は、「JIS A 1214 砂置換法による土の密度試験方法」が採用されますが、この方法は時間と労力を要しますので、大規模な工事では「JGS 1614 RI計器による土の密度試験方法」が採用されるようになってきました。

 室内締固め試験の許容最大粒径は19mmまたは37.5mmですが、現場で盛土される土は室内締固め試験の許容最大礫径より大きな礫を取り除いては使用しませんから、材料によっては試験の最大礫径と施工の最大礫径が異なることとなります。最大礫径が異なるということは、土の密度が異なることとなりますから、なんらかの補正が必要となります。室内締固め試験の結果の補正は、一般にWalker−Holtzの方法で補正することが多いと思います。この方法は、室内締固め試験の最大許容礫径より大きな礫の混入率が30〜40%までの場合は成立するといわれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突固めにより粒子破砕が生じやすい土や礫の混入量が多い土などの室内締固め試験の結果が締固め度の管理基準になりにくい土では、特別規定値(Ds)による管理方法が用いられます。特別規定値は、現場での転圧試験を実施して、締固めの基準値を設定する方法です。

 

・  空気間げき率または飽和度による方法

 

@  自然含水比が最適含水比より著しく高く、施工含水比の調整が困難な土。

A  試料の乾燥処理の程度によって、最大乾燥密度、最適含水比が大幅に変化する土。

B  泥岩、凝灰岩等のスレーキングによる沈下が問題となるような脆弱岩等。

 

では、密度比による管理が困難となります。

 このような土で、土のトラフィカビリティー、土の強度特性・変形特性が盛土の設計・施工条件を満足する施工含水比が確保できる場合には、空気間げき率または飽和度により管理する方法が用いられます。言い換えると、自然含水比やその近傍の含水比で施工しても、土の強度・変形特性・トラフィカビリティーが確保でき、密度比による管理が困難な土の場合には空気間げき率または飽和度により盛土の品質管理が行われます。

 では、なぜ、空気間げき率や飽和度で管理されるのでしょうか。

 今、図2.7.4に示すような締固め曲線が得られた土の場合を考えます。

 この土では、自然含水比が最適含水比に比べてかなり大きいのですが、乾燥させることが可能で最適含水比で施工し、最大乾燥密度が得られたとしますと、施工した締固め条件のもとでは最も土の間げきが小さな状態で施工できたこととなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次ぎに、施工含水比がなんらかの原因で、最適含水比より少し乾燥側で施工してしまった場合を考えます。このときの土の強度・変形特性は前述しましたように最適含水比で施工したときより大きくなる場合があります。しかし、土の間げきは最適含水比で施工したときより大きく、空気を多く含んでいることとなります。この状態で、水浸した場合を考えますと空気を多く含んでいる分だけ吸水膨張し、強度・変形特性が劣化する場合が懸念されることとなります。

 では、土の乾燥処理が困難で、自然含水比で施工せざるを得ない場合を考えて見ます。この土を自然含水比で施工した場合、トラフィカビリティーが確保できないまたは確保できても強度的・変形特性的に盛土の安定が困難な場合には施工できませんが、これらが、満足できるとなると話は変わってきます。今、自然含水比で盛土を施工しますと、強度・変形特性は最適含水比で施工した場合に比べますと劣りますが、盛土が必要とする性能は有しています。また、土の間げきは最適含水比で施工したときと比べて大きくなりますが、間げき中に含まれる空気の量は最適含水比で施工した場合より図2.7.4の例では少なくなります。ですから、水浸されても盛土の水に対する耐久性の低下は少ないこととなります。

 このような理由により、施工・強度・変形特性が許されるならば、密度比で管理することが難しい土では、空気間げき率または飽和度で管理することが可能となります。

 

 ・ 強度特性・変形特性で規定する方法

 この方法は、締固めた盛土の強度・変形特性を測定して、その値により規定しようとする方法です。

 締固めた盛土の強度・変形特性の測定方法としては、次ぎのようなものがあります。

 

@  貫入抵抗(いろいろな方法があるが、例えば、コーン指数測定)

A  現場CBR

B  支持力係数(平板載荷試験等)

C  プルーフローリングによる変形量

 

 この方法は、直接盛土の供用性と関連の強い方法を選ぶことで、管理・判断・検査が簡単でありますが、施工後の水浸による安定性に対しては確認が難しい。このため、水浸による影響の少ない良質な砂質土や礫質土には有効な方法でありますが、一般の砂質土や粘性土に対しては必ずしも有効な方法とはいえません。水浸の影響を考慮すべきである土に対しては、空気間げき率または飽和度による方法を併用することが適切と考えられます。

 

 4) 締固め含水比と土の性状変化

 土の締固めで、その結果を大きく支配するものは施工含水比と考えられます。土の性質は含水比の変化につれて連続的に移り変わっていきますが、次に示す四つの段階に区分されるといわれています。

 

・  第一段階………半固体状の領域

・  第二段階………弾性体的な領域

・  段三段階………塑性体的な領域

・  第四段階………半粘性流体的な領域

 

 各段階とそのときの土の性状を表2.7.4に示します。

 

 

 5) 締固め試験の意義

 土の締固めについて説明を加えましたが、締固め試験の役割にわかり難い面があります。

 土の締固めと言うと必ず出てくる言葉に、最大乾燥密度と最適含水比があります。最大乾燥密度と最適含水比は、「土をある一定の条件で、含水比を変えて締固めると乾燥密度が最大となる点があり、その乾燥密度を最大乾燥密度と言い、そのときの含水比を最適含水比と言う」となると思います。

 ここで、忘れてはいけないのは、土をある一定の条件で、と言うことです。土の最大乾燥密度と最適含水比は締固めの方法やエネルギーが変わるとその値も変わると言うことです。図2.7.2に示すように、締固めエネルギーが大きくなると、締固め曲線は、図中の右上に移動します。ですから、同じ土を締固めエネルギーを大きくして締固めると、最大乾燥密度は大きくなり、最適含水比は低くなります。

 締固め試験と現場での転圧は、方法もエネルギーも違うわけですから、締固め試験で得られた最大乾燥密度と最適含水比の持つ意味がよくわからなくなります。盛土の現場密度試験をやると締固め度が100%を超えることがあります。このときに、最大乾燥密度をその土の絶対的な最大乾燥密度(その土がとりえる最も間げき比の小さい状態)と思っている人がいると、締固め度が100%を超えることはありえず、現場密度測定に問題があるのではないかと言う人がいます。説明がヘタなのか、詳しく説明すればするほど理解してもらえないことがあったりします。また、理解して頂けたと思ったら、次ぎには、「では、締固め試験って、どのような意味があるの?」と言う話になることがあります。

 確かに、土の締固めが、その土が発揮できる最も間げき比の小さい状態の密度の○○%以上の密度に締固めないと施工された盛土がその機能を発揮できないとしたならば、今のJIS A 1210に定められる突固めによる土の締固め試験は意味がないものになると思います。しかし、計画・施工される盛土はその安定を保ち、その盛土に期待される機能が沈下や変形等が生じても問題のない量で供用上問題がなければ、なにも限界値に近い状態にまで締固めなくてもよいこととなります。

 土の締固めでは、最大乾燥密度と最適含水比が土を締固める際の重要な手掛りです。最大乾燥密度は、土の強度や変形特性を確保するための目安となる値で、最適含水比は最大乾燥密度を得るための含水比の目安となるとともに、盛土完成後の盛土の水浸に対する抵抗性を確保するための目安となる値(飽和度または空気間げき率)です。やっかいなことに、最大乾燥密度と最適含水比は施工方法や締固めエネルギーが変わると変化します。このため、JIS A 1210に定められる突固めによる土の締固め試験の意義がスッキリしないものとなるのですが、JIS A 1210に定められる突固めによる土の締固め試験の最大乾燥密度、最適含水比を基準として締固め度、施工含水比を規定する方法は、盛土が要求される強度・変形特性と盛土の水浸による抵抗性の低下という二つの要求を経験に基づいて、包含しているとの判断にたつものであるとされています。

 今、JIS A 1210に定められる突固めによる土の締固め試験の締固め曲線が図2.7.2の下から2番目の締固め曲線であり、その最大乾燥密度と最適含水比をもとに盛土が施工されたものとします。このとき、現場での締固めエネルギーが試験のエネルギーより大きいく、その締固めエネルギーで施工される締固め曲線は図中の左上のものとなったと仮定します。このとき、試験で得られた最適含水比で施工しますと、現場でのエネルギーで締固めた最大乾燥密度は得られませんが、試験の最大乾燥密度より大きな乾燥密度が得られるとともに、空気間げき率も小さなものとなり、施工された盛土は問題はないとなります。現場でのエネルギーが途方もなく大きく、試験時の最適含水比で施工すると過転圧になってしまう場合は別ですが、このようなことは経験的にほとんどないということです。次ぎに現場の締固めエネルギーが試験の締固めエネルギーより小さい場合ですが、この場合は、試験時の最大乾燥密度より施工時の密度は小さく、空気間げき率は大きなものとなります。施工時の密度が大幅に試験時の密度を下回る場合は、問題ですが、許容値を満たしていれば、密度・空気間げき率ともに問題のない範囲にあるということとなりますので、好ましいことではありませんが、盛土の安定に問題はないこととなります。ただし、特殊な場合には密度は満たしているが、空気間げき率が大きく水浸時に不安を残す場合も考えられますが、現場での入念な施工や最適含水比より少し湿潤側の含水比での施工が行われれば大きな問題はないと思われます。このような理由により、JIS A 1210に定められる突固めによる土の締固め試験は、スッキリしない面を残していますが、意義があるということとなります。

 

 

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